日本人の多くが興味を抱く「心霊・怪談話」
特に夏、冬のシーズンになると、その類の怖い話を聞きたくなる人も多いでしょう。
そんな方々におすすめしたい本が【怪談和尚の京都怪奇譚】というお寺のお坊さんによって書かれた短編本だ。
実話を基に書かれ、さらに心霊・怪談・不思議な話の宝庫とも言えるこの本は、日常と非日常にある不思議な世界を読者に体感させてくれる。
今回はそんな【怪談和尚の京都怪奇譚】についてご紹介していきたいと思う。
目次
怪談和尚の京都怪奇譚とは
三木大雲という京都のお寺に務める住職によって書かれたこの短編本は、基本的に彼の関わった心霊体験や、読書が求める怖い系の話などが中心に取り上げられている。
そのジャンルは多岐にわたり、少し例を見てみると…
藁人形などの呪術的な話
心霊スポットで起きた話
詐欺事件加害者に起きた心霊現象
死後の世界
などが挙げられ、もちろんこれらは全て実話だ。
怖いがとにかく読みやすい短編本
僕が1番最初に感じた本の感想は、とにかく読みやすい点に尽きる。
先ほどもお伝えした通り、「怪談和尚の京都怪奇譚」では怖い話や心霊体験、不思議な体験談がみっちりと凝縮されている。
さらに1つ1つの話が3〜5ページほどのボリュームでまとめられている為、短編小説のような楽な気持ちで読む事ができる。
特に面白いと感じた「実話の怖い話」
続いては、この短編本の中でも僕のお気に入りの話について少しだけご紹介していこう。
個人的に最も読み応えのあった話は以下の通りだ。
・京都に隠された秘密
・死神に遭遇した男の話
・名前の因果関係により起きた心霊事件
・鬼や陰陽師などの神話的要素が絡む事件
全てを語りだすとキリがないので、「死神と遭遇した男」の話だけ解説していこう。
死神に遭遇した人の怖い体験談
この本に書かれている心霊現象の一つに、幽体離脱の話がある。
この短編本の著者でもある和尚の知り合いに、とある青年がいたそうだ。
彼はとある手術を受けたらしく、その際に自由に幽体離脱出来る体になったのだとか。
そしてその幽体離脱した身体で歩き回り、この本の著者でもある和尚の行動も全て言い当てたそうだ。
ここまでは特に怖い話という訳でもなく、その青年はその後も幽体離脱を繰り返していた。
しかしある時、黒い服を来た何者かに「ここは生きた人間のいる世界だから」と言われ天に連れて行かれそうになったのだとか。
この話の続きを語りたいのだが、全て話すとネタバレになってしまうので、この後の展開は是非自分自身で本を読んで楽しんでもらいたい。
心温まる話もある
それともう一つだけ語らせて欲しい事がある。
それはこの短編本には怖い話以外にも、心温まる心霊現象の話も書かれていると言うこと。
例えば死別した父親が幼い息子と家族に最後の言葉を残すためにやってくる話。
また、かつて人を殺してしまった男とその家族が被害者の怨念に悩まされるが、彼らの心から罪を悔み、被害者への謝罪の気持ちに答えた死者の魂。
などなど、最後に泣ける話なども書かれているのだ。
全ての心霊現象は「負」のものだけでなく、「その体験者の心の支えになる」と言う事を本を通して体感する事ができるだろう。
仏教の教えと現実の怖い話がまとめられた短編本
そしてこの短編本のもう一つの魅力として、「和尚と仏教の教え」が掲載されている。
この本はあくまでも和尚が体験した「心霊現象」や「怪奇現象」を紹介しているのだが、各章の終わりと初めに、「仏教の世界から見た心霊現象」についても語っているのだ。
わかりづらいので、少し例を挙げてみよう。
・死後の世界から生まれ変わる一連の流れ
・仏教的側面から見た怨念
・死者との交流
・雷と神鳴り
など本編の内容(主に心霊現象)に絡んだ事柄を「仏教の教えや世界観』などと照らし合わせて、さらにそれを和尚が分かりやすく解説してくれるのだ。
簡単に言うと、一般人が普段触れることのない「仏教の世界」についても分かりやすく語っているのだ。
心霊現象と仏教から学べる生き方
この「教え」とも解釈できる仏教世界の考えや、不思議な世界観は、現代人が日々見失いつつある「生き方」を見つめ直す事ができる内容だと感じた。
さらにそれらは現代でいう哲学的な教えにも似た要素でもあるとも言える。
自分が今まで意識して来なかった「輪廻転生」の世界や宗教的視点から観た「怨念」など、この世とは別の世界を感じさせてくれる内容を楽しむ事ができることは間違いないだろう。
怪談和尚の京都怪奇譚・まとめ
以上が【怪談和尚の京都怪奇譚】についてのレビュー・感想でした。
先ほどもご紹介した通り、非常に読みやすい短編本なので、普段読書をしない人、また濃い怪談話や怖い話などに興味のある方などにもオススメです。
ぜひこの機会に手にとってその世界観の濃さを体験していただきたい。